派遣社員として働く最大のデメリットは、いくら自分に合った派遣先で人間関係も良好で時給もそれなりに良かったとしても、基本的には3年働いたら契約満了でその仕事を辞めないといけないこと。
そうなると、また新たな仕事を探し出し、すぐに見つかったとしても新たな職場環境で人間関係を築いていかなければこと。
これは本当にストレスです!!!
良いように考えれば、未経験の職業にチャレンジ出来てより自分に合った仕事が見つかるかもしれませんが、それを繰り返していくうちに年齢も30代・40代・50代と年を重ねていくことになり、そうなると条件も悪くなる一方。
そう考えると、派遣で一生食べていくと決めたなら、最初から無期雇用の可能性のある職場を選ぶべきではないでしょうか?
私の場合は、幸い40代という難しい状況の中で偶然にも無期雇用として働ける職場で働けるようになりました。
それまでは、そんな制度が出来ていたなんて知る由もなかったのですが。
無期雇用派遣とは?
派遣の求人を見ると、長期募集の場合は3か月契約の更新と書かれていることが大半だと思いますが、そこに “無期雇用” の文字が書かれていることはまずありません。
ですから、その存在すら知らない方もいまだに多いのが実情です。
従来の3年で契約満了する働き方を「有期雇用派遣」といいます。最初はみんなこの契約で3年間働くことには間違いありません。しかしそれだけではなかったのです。
実は2015年の労働者派遣法の改正と共により長く派遣先で働くことが可能となったのが「無期雇用派遣」。
派遣元会社と派遣先会社との契約期間を定めない契約ということになります。
派遣先が継続して来てくださいと言ってもらえている間は、何年でも数十年でも在籍できるということです。
私の場合は2年6か月ほど経った時の派遣会社の担当との面談で「もうすぐ有期雇用3年満了ですけど、無期転換を希望しますか?」というお話を頂けました。
流れとしては、残り約半年(3年満了)までの間に派遣担当者が頃合いを見て派遣先の総務に無期雇用の話をして話がまとまるといった感じです。
私が勤めていた会社は、すでに同じ派遣社員の無期転換実績があったので自然な流れでした。
無期雇用派遣で条件面はどう変化する?
基本的には特に大きな変化なしとお考え下さい。でも私の場合なぜか時給が19円だけアップしたんですけどね。(後にこれは都道府県の平均賃金引上げに伴うものだと知る)
無期雇用派遣にボーナスは出るのか
出る場合と出ない場合があります。
一般的な派遣社員の場合、基本的には出ないと考えていいかと思います。しかし、特殊な技能や経験を持っている場合に限りボーナスが出るようになるといわれています。恐らく社員と同等以上のスキルがある場合です。
ですから、ボーナスが出るという点に関しては期待しない方がいいでしょう。
無期雇用スタッフに切り替わるための労働条件確認チェックポイント
- 派遣先の企業との契約が終了となってしまった場合、次の仕事は派遣会社の指示に従って異業種であろうと行かなければならない
- 賃金が変更される場合もある
- 必要に応じて異動・出向を命じられることもある。
- 定年制度あり。(ただし退職金はありません)
- 会社の責任で仕事が無くなった場合、休業中でも手当として平均賃金の6割支給される
- 副業禁止
大手派遣会社の確認事項の中から特に気になる点をピックアップ。派遣担当者との面談の際に説明と確認があります。意外と副業禁止は多いかもしれません。(職種にもよる?)
無期転換する際のメリットとデメリット
メリット
慣れた職場環境で長く仕事ができる
頑張って働いても3年契約満了の後はすぐ仕事が見つからなければ失業ですし、すぐに次に仕事が見つかったとしても新しい職場になじむ、またイチからペーペーとして働くストレスを経験しなくて済む!
無期雇用して頂ける派遣先会社は私たちを使い捨てではないという意識を持たれている会社だと言えるので、そういう安心感もありますね。
年次有給休暇の付与日数が最大6年半で20日まで増える
継続して同じ派遣会社で働けるという観点からすると、年次有給休暇の付与日数が最大6年半で20日まで増えること。これが3年契約満了後に違う派遣会社の仕事に変わるとリセットされて、次の仕事開始から半年後に10日付与で再スタートになります。
これがいかに損になるか下記の図をご覧ください。
仮に9年間2通りの働き方で有給休暇取得日数の合計をまとめてみました。
うまく派遣会社を渡り歩けたとしても、図のようにトータル9年働いた場合の年次有給休暇付与日数の合計は・・・
- 継続9年働いた場合:141日
- 3年ごとに違う派遣会社で9年働いた場合:78日
実に78日もの違いが出来てしまいます。 給料換算で約4か月分です!
うまく派遣会社を渡り歩けたとしても転々とすることによって、その都度有給取得に関してはゼロからリスタートになりますし、たとえ同じ派遣会社で次の仕事が見つかったとしても、一か月以上の空白期間が出来てしまう場合も、またイチからのスタートになってしまいます…
2019年4月から、労働基準法の改正により有給休暇の取得が義務化され、取得後は1年以内に必ず5日以上消化させなければいけなくなっていますので、毎年多くの有給休暇が付与されるに越したことはないです♪
デメリット
派遣先での仕事が無くなった場合は派遣会社が紹介する仕事をしなければならない
無期転換後、派遣先での仕事が無くなった場合は派遣会社が紹介(指示)する仕事をしなければなりません。
例えば製造系の仕事をしていたのに苦手意識の高い営業職を紹介された場合などです。可能な限り同じような職業を紹介するようにするということを言われていたとしても、こればっかりは分かりません。
断る=派遣会社を退社 となる訳ですが、この場合自己都合退職となりますので、「雇用保険の失業等給付」いわゆる失業保険を受け取れるのが2ヵ月後(2020年10月1日から3ヵ月後→2ヵ月後に短縮)になってしまいます。
社員と比べた場合は、時給アップ・ボーナス・退職金無し
無期雇用になると派遣会社の社員のような扱いになりますが、普通の会社員であれば期待できる “給料アップ・ボーナス・退職金” は基本的にはありません。
もちろん派遣会社・職種・世間の経済状況の変化によって条件が良くなることが無くはないですが、現在のところは都道府県の最低賃金見直しに伴って時給がほんのチョッピリ上がる場合もある程度。
無期雇用として働くためには?
私のように結果的に無期雇用できたというパターンが多いような気もしますが、
そうなるためのポイントはズバリ
“無期雇用の実績がある派遣先または その可能性が高い職種を選ぶ” というのが最大のポイントだと思います!
さらにもう一つ大切なポイントがありまして、
“無期雇用にも積極的な大手派遣会社を選ぶ!” ということ。
私のこれまでの経験と周りの友達・知人に話を伺った結果、明らかに製造の仕事は無期雇用に消極的な場合が多いです。
例を挙げますと、私の2つ上の友人Yさんは某冷凍食品の製造補助の仕事を派遣で行っていました。料理好きな彼にとって、向いている職業であり、遅刻もなく残業にも対応し、まじめに働いていましたが、無期雇用の無の字もなかったとのこと。
その彼が仕事を続けられなかった主な理由は、国の外国人支援制度を使ったほうが会社として儲かるから。
比較的単純作業の仕事であればあるほど、人材確保しやすいということもあって、悲しいかな “派遣は替えが効く” ”使い捨て” という認識なんでしょう。
私たちとしては、最初からそういう会社なのかを募集内容や面接で見極めていきたいところですね。
出来ることとしては、「派遣会社の名前」と「無期雇用」のキーワードを使ってネット検索してみるといいかもしれません。
Yahoo!知恵袋などでそういう書き込みがある場合もありますよ。
まとめ
いずれは正社員になりたい!そう願うのであれば“無期雇用”としての働き方はオススメできません。
しかし、事情により時間の制約が限定的な派遣としての働き方が私には合っている!そういう方はぜひ無期雇用として働けることを願います。