アルミ板の検査・梱包の仕事とは
アルミ工場内で作られるアルミ板製品といっても、大きく分けると下記の2種類になります。
- 四角く切り出した比較的厚めの1枚板のもの
- アルミ箔が巻かれたの筒状のアルミ条
私が担当した部門は「四角く切り出した比較的厚めの1枚板のもの」でした。
製造現場から運ばれてきた商品の最終チェック(検査検品作業)と、綺麗にそろえて紙で梱包するのが主な仕事です。
では、金属アルミ板の検査業務と梱包作業について一日の流れにそった形で詳しくお伝えしますね。
業務前にやること
業務開始は午前8:00ですが、15分前つまり7時45分までに出勤し制服に着替えて自分の作業場所に到着しておかなければなりません。
なぜかというと、ラジオ体操と朝礼、そして簡単な掃除があるから。
工場内で流れる合図とともに、ラジオ体操が始まります。
それが終われば朝礼です。毎日当番制で順番が回ってきて、何か一言いわなければなりません。
例えば、「昨日こういうヒヤリがあったので気を付けましょう」みたいな感じです。
そのあとはグループの課長・係長にバトンタッチ。その時、アルミ板の梱包作業は基本的に2人1組で行うので今日の作業の組み合わせを伝えられて自分がその日担当する作業場を簡単に掃き掃除して作業開始です!
※もちろん、こういった本チャイムが鳴る前の準備に関する時間は仕事時間に含まれませんので、タイムカードの時間としてはカウントされません。
こういうのって、どこでもあるケースですが、完全に業務ですからコンプライアンス的にはアウト、なんか納得できない昔からの習慣ってやつです。
アルミ板検査と梱包作業について
アルミ板検査と梱包作業の準備
製造部門で作られたアルミ板は品質保証部で検査され、一応合格した商品が梱包する場所までパレットに載せられてリフトで運ばれてきます。
玉掛けの資格を持った人が、その合格した商品(アルミ板の束)を工場内のクレーンを操作して、作業台の横にある傾斜台に載せます。500Kg~1tぐらいはあったでしょうか?
だいたい一塊の1ロットの厚みが50cmぐらいはありました。一枚の板が厚ければ100枚もありませんが、薄い板なら300~500枚になります。(上の写真は数ミリの厚みがあり、比較的曲がりにくいアルミ板なので傾斜台を使わずに平置き移動で梱包)
通常は傾斜台がベッドのように横になった状態でセットし、傾斜台のボタンを押して立てます。立てるといっても垂直より手前、少し傾斜が付いた状態までです。
そして、アルミ板を束ねている留め金具をゴツいハサミで切ります。
次に作業台の方ですが、一番下にくる作業台より大きい木製の木枠をまず載せます。
その上に、片方の表面がツルツルのベニヤ板を木枠に合わせて載せます。
あとは準備として・・・
数を数えるカウンター、ロール状の薄葉紙を転がす装置(棒)にセット、ラミクロス包装用テープ、カッターなどを用意。作業台の手前には薄葉紙を置く小さな台。
そして手袋なんですが、ここで注意!
アルミ板は絶対に素手で触ってはいけません!
アルミって非常に水気に弱いんです!
処理の方法や中身の素材にもよりますが、基本的には板の上に汗が落ちてしまうと、すぐに拭き取ってもその製品はアウト。すぐに化学反応して腐食します。目にはそれほど変化がなくても、後で変色するし性能も変わってしまうんです。
出荷してから実は板が濡れていた・・・ということになれば、下手するとそのロット全部返品なんてこともあります。
というわけで、
※特に夏場は軍手だけでは汗がついてしまう可能性が高いので、ビニール手袋の上から軍手をして作業をします。
アルミ板検査と梱包作業の手順
この仕事は基本的に二人一組と書きました。
大板の場合、幅の大きさが1m25cm、長さが2m50cm~4mあり、それを1枚1枚めくって傷や汚れがないか確認し、薄紙を挟む作業を繰り返していかなければならないからです。
この作業において2人のうち1人が主、もう一人が副です。
当然ながら経験が長い方が主になります。
主になった人が、1ロットのうち何枚ずつ梱包していくのか?段取りを考えます。
最初と最後、そして途中も不良品が出ることがあるので、それを見越して計算します。
傾斜台の両サイドに立ち、最初の数枚は捨てます。板の焼きムラや傷があるからです。
綺麗な面が出てきたら、やっと梱包開始。
その前に、ロール状の防水効果がなされたクラフト紙(ポリラミ紙)を必要な長さにカットし、包んだ時に中心に来るように(基本的にはツルツルの防水面が中に来るように)作業台にバランスよくセット。
その上に薄葉紙を敷きます。なぜかというと、アルミ板をめくってまた重ねる時、そして出荷後の運搬中に板と板が擦れると傷が付いちゃいますからね。
それでアルミ板1枚1枚の間に薄葉紙を挟んでいくんです。
傾斜台からのアルミ板梱包手順
まず傾斜台に載った一番手前のアルミ板に傷や汚れがないかチェック
一番手前のアルミ板に指をひっかける
「せ~の!」といった掛け声とともにアルミ板を手前に引っ張り出す
「せ~の!」という掛け声で同時に作業台に投げる(ひっくり返して投げる場合もあり)
もう一度板に傷や汚れがないかチェックししながら載せたアルミ板がきれいに重なるように置く(角を合わせる)
薄葉紙を相手に転がす(または転がってきたものを受け取る)
カウンターを押す
これを繰り返します。ちなみに二人ともカウンターを使って何枚梱包したかダブルチェックしながらの作業です。
この仕事で一番のポイントがココ!
傾斜台からスムーズにアルミ板1枚だけを指に掛けて引っ張り出す作業が難しい!さらに作業台に投げる時まで指に力を入れすぎると板が曲がるので注意!
決めた数まできたら、薄葉紙を切り、ポリラミ紙できれいに包んでテープで留めていきます。
一包みが終わったら、その上に次のポリラミ紙をセットし、それを数回繰り返します。次の写真はもうすぐで1ロット分の梱包が終わるところ。
あまり重ねすぎると荷崩れする可能性がありますので、コーナー用の厚紙をかましてから金属の留め具で留めてから、その上に最初に置いたのと同じ木枠を置き、これまで書いたのと同じ作業をします。
梱包し終えた物は、また玉掛けの資格を持った人に声をかけて、クレーンで工場内の仮置き場に運んでもらいます。その様子に近い動画がありましたので参考に。
ちなみにアルミ条の梱包の様子の動画がありましたので参考に。
荷崩れを起こさないように、そして雨など濡れないように梱包された商品は、しばらく倉庫内で保管され、出荷依頼日に運送会社が引き取りに来て出荷完了。(出荷作業は別の部門の仕事)
それ以外の仕事
昼礼
午後からの仕事についてだけでなく、ヒヤリハット活動の一環として、過去のヒヤリハットを一つ取り上げ、改善策として何ができるかを当番制で考えておく必要がありました。
また定期的にヒヤリハットを提出しなければなりません。
梱包する仕事がないとき
出荷予定にも波があり、月に1日2日ほど暇な日があります。そういう時は工場内の掃除やペンキ塗りなどをやっていました。
安全活動
ヒヤリハットだけでなく、月に一回は危険行動につながる動きをしていないかのチェックとして、玉掛作業やフォークリフト運転の資格を持っている人が課題を与えられて操作&運転し、それ以外の人は見ていて何が良かったのか、悪かったのかを紙に書くというのもありました。
メリット
正直言うと、それほどメリットは思い浮かびません。
派遣社員は契約社員へとステップアップしやすい半面、契約社員から正社員はかなりハードルが高いですので。
まあ、可もなく不可もなく。職場が近くて時給が納得できるなら長く続けていけるかもしれません。
あと、玉掛けやフォークリフトの資格がある方は重宝されるかもしれませんね。
デメリット
二人作業で合わない人と当たった時
二人一組で作業するので、やりやすい人とやりにくい人との差が激しいです。相方が変な人だった場合はホント一日ブルーです。
私の現場にも、以前別の会社で正社員として海外赴任など立派に働いていた?60歳前後のパートの先輩がいました。
おそらくそれまでの経験や年上であるということで、特に自分より後に入ってきた人に対して “偉そうにする、相手に合わそうとしない、すぐキレる” 人です。他の人と話をすると、みんなこの方と組まれてしまうことを嫌がっていて、これまでこの人のせいでみんな辞めていったと・・・
休憩のタイミングも合わせて一日中共に行動するのは苦痛でした。
これが二人作業の最大のデメリットです。
指が痛い
アルミ板を一枚一枚めくるめく世界ですので、特に厚み・長さ・重さのある板を何枚も何枚も指でつまんで放り投げているわけですから、しまいには指が腱鞘炎のような状態になるのは時間の問題です。
工場内は暑い
こちらはそれほどのデメリットではありませんが、工場内では上着は長袖、作業中はヘルメット着用なので夏は暑くて汗をかきます。
とはいえ、スポットクーラーがあるのでまだマシですが、あんまり当てすぎると首や頭が痛くなります。
求人情報と給料
勤務条件
勤務条件ですが、特に資格が必要ではないですが、上でも書きましたように玉掛けやフォークリフトの資格があるか聞かれます。
労働時間は普通の工場と同様に定時が8時~17時あたりになるかと思います。
私が働いていた所では、勤務時間:8:00~16:40(7.83時間)で休憩時間:11:45~12:45(60分)でした。
残業は月平均20時間程度、週に2日だったり毎日だったり色々ですが、平均一日1時間程度(長くても2時間まで)です。 派遣社員は多少忙しくても、ほぼ本人の希望通り帰りたい時は帰らせてもらえました。
休みは日・祝で土曜日は隔週という感じです。土曜日の出勤は毎回強制ではありませんが、金曜日の朝礼で翌日土曜日に必要な人数を知らされ、出勤可能な方は挙手するスタイルで、しばらく出ていないとプレッシャーは感じると思います。
アルミ製品の梱包業務の求人と給料
職業紹介タイトルとして
- 「アルミ製品(板・箔)の梱包作業」
- 「アルミ製品の検査・梱包」
- 「経験いらずの工場内軽作業!アルミ板の傷チェック⇒梱包」
などの名前で募集されています。
主に派遣社員の募集ですが、正社員の募集も時々あるようです。
(ただし、正社員の募集の場合は30歳以下(省令3号のイ)といった条件が付きます)
給料は派遣社員として採用された場合、当時の時給で1,150円でした。(交通費あり:一日最大750円)
ステップアップ
私より3か月ほど前に入った別の派遣会社の方は、2年ほど働いた派遣社員が契約社員になったのを聞いて、自分もして欲しいとしつこく言ったら同じタイミングで契約社員になれたそうです。
1年契約とはいえ、長期で続けたい方はタイミングを見て交渉すべきということでしょうか?
契約社員になると、時給は下がるが、一応ボーナスが出ると言っていました。トータルで言うと少しプラス。ただし、社員からの指示がかなり厳しくなり、個人的にはあまりメリットを感じませんでした。
派遣社員として働くということで、仕事探しをまとめてみると以下のようになります。
- ハローワーク
- 派遣会社の求人内容から判断してエントリー
まとめ
梱包作業がメインと思われるかもしれませんが、アルミ板製品の不良品をいかに見分けるかが重要な仕事です。
少し油が付いている程度であれば拭き取りでも大丈夫ですが、微妙な板の焼きムラや傷を見分ける必要があります。
光の当たり具合でやっと分かるようなものを投げながら見つけるようにしますので、意外と目も疲れる仕事ではありますが、思っていたより奥が深いです。そこにやりがいや楽しさを見つけられれば、長くできる仕事かもしれません。
個人的には、やはり可もなく不可もなくですね。