シャンプーや洗剤の製造ライン作業

今回ご紹介する「シャンプーや洗剤や化粧品の製造会社」は、自社製品の業務用洗剤や油脂製品だけでなく、有名は花●のシャンプーなどもOEMメーカーとして作っている化成工場になります。

「シャンプーや洗剤や化粧品」の明確なジャンルはありませんが、一番ふさわしい呼び方は和製英語で “トイレタリー” というそうです。

トイレタリーとは日用品の一ジャンルであり、広い意味では化学薬品、細分化すると化粧品や洗剤、医薬品(医薬部外品)などに含まれる。

トイレタリー – Wikipedia

トイレタリーの製造ライン作業とは、皆さんがイメージする通り、商品の充填(じゅてん)とコンベアから流れてくる商品にひたすらフタを取り付ける・シールを貼る・検品し箱詰めするといった仕事です。

正式には “ライン補助作業” と呼びます。

ライン作業の仕事は普通、パートや派遣社員が行ないます。

直接雇用もあるにはあるんですが、基本的には派遣会社の募集から仕事に就き、ある程度経験を積んだ後に、直接雇用に切り替わる場合があります。(もちろん長期派遣のままの場合もあります)

そんなシャンプーや洗剤を作っているライン作業の仕事ですが、
この記事で特に強調しておきたいのは、“長期レギュラーパートと短期派遣の違い” と “食品工場のラインの仕事との違い” です。

化成品工場内の各部署について

シャンプー&リンス、洗剤などを製造している化成品工場内には各工場(部署)に分かれていて、衛生管理の基準や環境に違いがあります。

薬粧工場
[シャンプーやリンス、ハンドソープ、一部液体洗剤や医薬部外品に類するものを製造]

化成品工場の中では一番基準が高く、全身を覆う制服とマスクを着用し手洗いの際にアルコール消毒が必要。

工場内各所にはエアシャワーがあり、特に充填する部屋への出入りは必ずエアシャワーを通らなければなりませんし、薄手の医療用ゴム手袋着用で作業をします。

室内は基本的にはエアコンで冬も夏も26度設定なので少し高めに感じるかもしれません。服装もあって少し動くだけで汗をかきます。

天井に設けられた空気清浄機によって空気中のホコリの量が少なくなるように保たれています。

液体洗剤工場
[台所用や掃除用の液体洗剤を製造]

薬粧工場よりも服装の基準は少し低く、帽子を着用したりしますが、制服は全身を覆うものではありません

暑い季節は扇風機もつけられます。

ドライブレンド工場
[粉体製品を製造]

この中では一番環境基準は高くありませんが、製品が粉という性質上、“風厳禁” なので夏は非常に熱い中作業しなければなりません。

どの部門でも手洗いとアルコール消毒が必要です。

特に気を付けたいのが各部門によって服装や環境による “暑さの違い” があることです!

働きやすさに多少影響があると思います。暑がりの方は夏つらいかも?

薬粧工場と食品工場のラインの仕事との違い

やはり人の口に入る物を製造している会社とトイレタリーとでは基準が全く違います。

食品工場は環境基準もセキュリティーも非常に厳しい!!!

虫対策に関して

食品工場は工場内に虫が入ることが厳禁なので、それ用の対策もシッカリしています。

不必要にドアが開かないような作り、各所にはゴキブリホイホイのような仕掛け(調査用)、電撃殺虫器があります。

薬粧工場内にも同じような対策はしてありましたが、食品工場ほど神経質にやっているわけではありません。

虫を引き寄せる食品自体が工場内にはないので、それほど必要ではないのでしょう。

制服に関して

制服ですが、どちらも全身を覆うものを着用するとはいえ、食品工場の方は、例えば頭はネットの上からプラスチックの薄いヘルメットさらに首も完全に覆う帽子で毛髪を絶対に落とさないものです。

対して薬粧工場の制服は、つなぎにマスク、首を簡単に覆う帽子だけです。一応毛髪を落とさないスタイルではありますが、社員さんはいつでも首からぶら下げた携帯を制服の中からすぐに取り出せるように襟元のファスナーが開けてあったりします。

セキュリティーに関して

会社による差はあるとは思いますが、これはもう雲泥の差です。

食品工場は自分用のセキュリティーカードを腕に着用し工場入口や工場内各所でタッチし、さらに「虹彩認証装置」という生体認証システムも導入されていて二重セキュリティーになっていました。

しかも監視カメラが至る所に取り付けてあります。

対して薬粧工場のセキュリティーは特に何かあるわけではありません。

仕事中のトイレに関して

仕事中、急にお腹が痛くなった・・・そんな時、食品工場の場合は、手を挙げて近くにいる社員に許可を得てから持ち場を離れてトイレに行けます。

対して化成工場の場合は、自分のポジションによって行きにくい場合もありますが、社員ではなくても同じラインの方に声を掛けさえすれば問題なく行けると思います。

ラインの仕事はいつでも自由にという訳にはいきませんが、トイレが近いとかすぐお腹が痛くなるという方にはつらい面があります。

このように食品の方がいろいろ規則など厳しい面があります。

シャンプー製造ラインの作業内容

では実際に働いてみて学んだことも踏まえて解説していきますね。

まず私たちが行なう製造ラインの前段階として、【調合】という部門があります。

大きな調合タンクで8割9割水だと思いますが、そこへ秤量された原料を加熱、溶解、乳化、分散、冷却、ろ過などの工程を経てシャンプー液が作らるれわけです。

作られた液は充填室にパイプを通って運ばれて来たり、大きなポリタンクに入れられて運ばれます。

充填作業から始まるライン作業を簡単にまとめると以下のようになります。

[ボトル製品の場合]

ボトル製品の製造ライン

  1. 空ボトルセット
  2. 充填
  3. キャップ・ノズル締め
  4. キャッパー
  5. ロット打ち
  6. ウェイトチェッカー
  7. ラベラー
  8. 検品
  9. 箱詰め(梱包)

洗剤の一部の製品を作る場合は、工程後半部分でシュリンク包装が含まれます。
※シュリンクとは、透明なフィルムを商品本体に被せ、加熱して商品に密着させる包装のこと。

1~9の工程の中では “機械が行なう作業”“人が行なう作業” があります。ここでは人が行なう作業の説明をします。

1.空ボトルをセットする係 1人

空ボトルをセットする人
ボトルに傷があるか目視検査し、ボトル用の集塵機に口を突っ込んでからラインに空ボトルを投入していきます。

3.充填機から出てきたボトルにノズルを取り付ける係 2人

充填機から出てきたボトルにノズルを取り付ける人
慣れるまで一番難しく感じる仕事。

1分間に9本程度だとかなり遅いですが、それが20本以上になると初心者では追いつかない速さになります。

できるだけキャップやノズルを回す際に斜めに噛み込んでしまわないようにするには慣れやコツが必要です。

4.キャッパーから出てきたボトルをチェックする係 1人

主にのノズル方向が正しい方向に向いているのか、規定範囲内に収まっているのかをチェック。

加えてボトルに傷や透明ボトルなら異物が混入していないかも同時にチェックします。

8.ロット打ち・ウェイトチェッカー・ラベラーを通ったボトルの検品 2人

ラベラーというのは、アイキャッチシールという商品の特徴が書かれた目立つシールを機械を使って貼り付けますが、正しい位置に貼れない場合が多く、検品する人がミリ単位で貼りなおさなければいけません。こちらも1分間に20本以上のペースで流れてくると2人では厳しくなってくるかもしれません。

9.箱詰め 1人

箱詰めをする人
検品二重チェックを兼ねながら箱にボトルを入れていくわけですが、その際にノズルの方向を合わせます。詰め終わった箱は梱包用の機械に送り出すと自動的にテープが貼られます。その先には箱にロット番号をプリントするようになっています。ですので、箱をセットする際には必ず箱の方向もチェックしなければなりません。印字された後を追いかけて印字が正しくされているかもチェックします。

●フリー(箱作りやボトル出し) 1人

箱作りは実際に充填作業が始まるまでの準備時間の間にできるだけ作っておきますが、それでは全然足りないので箱作りをする人が必要になります。また製造途中で空ボトルが減ってきますので、そういったボトルやノズルを箱から出して補充もします。

他にも機械ではなく手作業になる場合があり、例えば最後の箱詰めの際のテープ貼りも手貼り(I貼りやH貼り)しなければならない場合もあります。

[詰替用パウチ製品の場合]

詰替用パウチ製品の製造ライン

  1. 空パウチの袋セット
  2. ロット打ち
  3. 充填
  4. 熱溶着(ヒートシール)
  5. ローラーによるパンクテスト
  6. ウェイトチェッカー
  7. 検品
  8. 箱詰め(梱包)

1.空袋のセット 1人

パウチの袋を機械が掴みやすいように少し繰ってあげ、1枚ずつ少しズラして袋を切らさないようにしながらセットします。

ロット打ち→充填→熱溶着→ローラーによるパンクテスト→ウェイトチェッカーまでは全て機械がやってくれますが、その間で何かトラブルがあった場合は “空袋のセットの人” が対応します。

7.検品 2人

パウチの袋に液ダレが付着していないか、パウチにキズがないか、ロットが正しく印字されているかを向い合せで立ってチェックします。

熱溶着がうまくできていなくて液ダレを起こしている場合はすぐに作業を止めてもらい、汚れたラインを掃除しなければなりません。

8.箱詰め 1人

製品化したパウチを決められた方向に入れます。こちらも箱詰めできれば梱包用の機械に送り出し自動でテープが貼られて箱にロット番号が印字されます。もちろん印字チェックを忘れずに。

このパウチ製品ですが、ほぼ手作業で行なうラインもあります。

その場合、まず袋をあらかじめエアーで膨らませる人、足でスイッチで踏んで充填する人、熱で口をシールする人、手で体重をかけて押してパンクテストをする人、といったように結構大変です。

特に充填作業の際に、袋の口の熱溶着する部分にハネた液が少しでも付いてしまうと、溶着不良になってしまいますので、なかなか丁寧さの求められる難しい作業になります。

箱詰めした商品をパレットに載せる

最終的に段ボールに箱詰めされた商品は、手でパレットに載せるか、コンベアで運ばれてロボットがパレットに載せていく、この作業で毎日決められた目標数(数百ケース)を上げるのが仕事になります。

メリット

誰でも仕事に就けるチャンスあり!?

向き不向きはありますが、基本的には誰でもできる仕事であり、ある程度年齢が上の方でも仕事に就くチャンスがあります。

50代で入社して現在60代でも普通に仕事をされている方が数人いました。

短期募集の場合は時給が高め

短期募集の場合に限りますが、単純作業の割には時給高めです。

特に大量募集&採用している時がねらい目で、人数を余分に採用しているので仕事の内容も非常に楽な時もあります。

デメリット

仕事に飽きやすい

単純作業ゆえに仕事に飽きやすいです。

私が行っていた職場は、幸い同じ作業を一日中するのではなく、一つのライン上で50分ごとに持ち場を交代しながら仕事をしますので、それほど飽きたり時間が長く感じるということはなかったです。

しかしライン作業というのは、会社によって一日中同じ仕事ばっかりさせられるという所もありますので、事前に調べておいた方がいいでしょう。

ラインのスピードについていけるか

ラインのスピードが速くなると、不器用な方はついていけないです。

ボトルの充填スピードが1分間に16本を超えたあたりから、いかに速くノズルが巻けるか?という技術的な問題が出てきます。

まだ入って日のない方や不器用な方は、なんとかこなしてもクタクタになるかもしれません。

実際にあった例では、入社初日に20本以上のスピードで回っているラインに入れられた方は、別に不器用ではなかったんですが、1日で辞めてしまいました。
「こんなに大変だとは思わなかった・・・」と言っていました。

いきなり速いスピードでやらされて放置されるということは基本的にはないハズなんですが、たまたま間が悪かった場合の話です。

私の感覚では、最初の3日間はいろいろ覚えたり慣れるための期間という感じで同じ作業を4日以上やれば、ある程度こなさるようになっていました。

MAXレベルのスピードにも対応できるようになるには、やっぱり3ヶ月以上かかったような気がします。

製造ラインの長期の募集は非常に時給が安い!

長期雇用の時給は都道府県の最低賃金に近い設定が多いような気がします。

スーパーのレジ打ちとどっこいどっこい?

誰もが知ってる食品製造工場のパートのように、同様に時給が安くても年2回ボーナスが出るところもあることを考えると・・・ねぇ。

立ち仕事ゆえの疲れと肩こり

仕事で肩こりがひどい
座ってできる検品や手充填もありますが、基本的には立ち仕事になります。

歩き回らず、その場で作業しぱなっし、同じ動作というのは結構疲れます。

足・腰・肩、結構きますよ。

意外と力仕事な場合も

その日の生産内容によっては、業務用の商品を生産することもあり、次から次へと流れてくる、つかみにくい4キロの重いパウチを持ち上げて検品するのは、女性には結構な力仕事になるんですよ。

そういった理由で業務用のラインでは、男性がそれを箱詰めする梱包運搬業務をまかされる場合があります。

検品は目が疲れる

仕事で目が疲れる
一つは検品作業は慣れるまで酔いやすいということ。

もう一つは、アイキャッチシールを貼る位置(合格ライン)が厳しいので、正確にシールを貼り替える作業には、ミリ単位で合わせる必要がありますので非常に目が疲れます。

ボトルに貼られた透明のシールを見極めて、その上2mmの所に中心を合わせてある程度正確に貼らなければなりませんでした。

しかも充填スピードが速ければ、それだけ次から次へと商品が流れてきますので、貼り替えの時間はあまりありません。

求人募集と面接について

トイレタリーの製造ライン作業求人募集内容

求人情報誌には仕事内容が[化粧品や医薬部外品等の検品、箱詰め等のライン作業][シャンプー・リンスを取り扱う充填・包装作業]と紹介されていました。

日勤の短期派遣[勤務時間 8:00~16:30]時給1,150円(実働7.5H/休憩1.0H)
夕勤の短期派遣[勤務時間 16:00~23:30]時給1,230円(実働6.5H/休憩1.0H) (22時以降は1,538円)
レギュラー長期の日勤パート[勤務時間 8:30~17:00]時給900円(実働7.5H/休憩1.0H)
レギュラー長期の日勤派遣[勤務時間 8:30~17:00]時給1,000円?(実働7.5H/休憩1.0H)
短期勤務の休日・休暇完全に休みは日曜のみで、土曜・祝日は生産がある日も多く、可能な限り出勤ですが強制ではありません。あらかじめ休みたい日があれば工場カレンダーで出勤の日であっても休みに出来ます。
長期勤務の休日・休暇基本的に土・日・祝休みで土曜日は月に1回程度出勤があるかもしれません。

※いずれも休日出勤(法定外休日による就業:25%の割増)は強制ではありませんでした。稼働するラインでそれぞれ必要人数がありますので、出勤できる人を集めて調整する形です。

※残業は生産の進捗状況や人員不足などにより30分~2時間程度求められる場合がありますが、こちらも強制ではありません。(残業は少なめで8時間を超える場合は時給25%割増)

  • 長期・短期ともに交通費上限1万5000円まで支給(電車&無料送迎バス、またはマイカー通勤) ※ただし派遣会社によっては1日上限300円や交通費無しの所もあり
  • 長期は6ヶ月以上勤務で有給休暇(出勤率80%以上で10日)
  • 長期パートは昇給有り
  • 10代~60代の幅広い年代が活躍

「長期パートは昇給有り」ですが、スタートが時給900円で10年15年と長く続けてきた方でも1,000円ぐらいまでしか上がらないという条件の悪さです。年齢が若くて他に仕事が見つかりそうな方は正直この仕事を選んだり続けるのはもったいないと思います。

長期と比べて短期派遣でこの仕事の募集があった場合、ほとんど同じ仕事内容で長期パートに比べて時給が250円も高いのが魅力!

あと短期で仕事を探している方に気をつけていただきたいのが、派遣社員の二ヶ月契約と三ヶ月契約の違いについてです。

実は短期求人募集の募集内容の所に “延長の可能性あり” と記載されている場合があります。

生産状況や取引先からの仕事がしばらく継続することになった場合は、当初2ヶ月契約であろうが3ヶ月契約であろうが終了前に延長するかどうかの話があると思います。

そうなった時、もし2ヶ月未満の短期契約で社会保険を掛けていなかったなら、次の契約からは必ず社会保険に加入しなければなりません。

短期募集のタイミングとしては、他社新製品(OEM)を作ることになった場合に、短期派遣の大量募集をかけているようです。あとは3ヵ月の更新のタイミングで人が辞めた時でしょうか?

私はネットのタウンワークからエリアと時給で検索して見つけました。

でも実は私がエントリーした派遣会社はジョブセンスでも募集をかけていたことに後で気づいたんですが、こちらからエントリーしておけば、採用が決まった時にお祝い金数千円もらえたんですけどね・・・

求人情報サイト一覧はこちら

面接で気をつけること

ハッキリ言って、他の職種と比べて求められるものはそれほど無く、面接で必要な基準はゆるいです。

50代でも十分採用されるチャンスがある仕事です。

私は基本的にスーツでしか面接には行きませんが、この仕事に関しては普段着で面接に来られる方が非常に多いように思いました。

だらしない服装でなければ大丈夫そうです。

求められる条件は、会社カレンダーと出勤時間の条件で問題なく出勤できること、さらに短期の場合は土曜日や祝日でもある程度出勤対応できるかどうかが大きいです。(とはいえ、休みは非常に取りやすいです)

あとは面接をする人がどう感じるか?

「この人変わってるなぁ」といった違和感を感じられたら採用されないと思います。

常識的な受け答えができるかどうかですね。

動作がトロいなどの理由で作業に不向きなのは実際に入ってやってみないと分からないことなので採用には関係ありません。

まとめ

時給が1,000円以下の安い設定では、正直働きたくない仕事ですが、年齢ゆえに仕事が簡単には見つからない方にとっては大きな受け皿となっている仕事でもあります。

というわけで、若い方にとっては短期の時給がいい求人が出ていたのなら、やってみてもいいのでは?と思えるお仕事でした。